幼児のご飯は安全?気になる残留農薬

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子供のために栄養バランスを考えて、野菜や果物をたっぷり使ったメニューを作る時、ふと農薬等の安全性は大丈夫なのかな、と心配になることもありますよね。

大切な我が子には、安全で栄養満点なご飯を食べて、大きくなって欲しいものです。野菜や果物の残留農薬について知っていれば、安心して子供の食事も作れます。

これから残留農薬について説明していきましょう。

11品目の野菜の残留農薬を検査した高知県農業技術センター

そもそも農薬って?

農薬は、農作物周辺の雑草を除き、害虫や病気から守り、生産性を上げるために使われます。日本では大正時代から使われ始め、第二次世界大戦後から本格的に使用されるようになりました。戦後、日本は農業労働力不足や田畑の消失、天候不良によって深刻な食糧難に陥りましたが、DDT等の農薬を使うことで、それまで不安定だった農作物の生産量を安定させ、除草剤によって労働時間短縮に貢献し、食料不足解消に大きな影響を与えました。

農薬は、「農薬取締法」という法律によって厳しく管理され、登録された農薬以外の製造、輸入、販売は禁止されています。農薬を登録するためには、その農薬の品質や安全性に関する各試験成績をまとめ、農林水産大臣に申請する必要があり、現在日本では約4300件の農薬が登録されています。

農薬のメリット・デメリット

農薬を使う一番のメリットは、農作物の生産性の向上と安定です。農薬が普及する以前は、害虫や病気で農作物がダメになってしまうことも多く、中々安定して食料を供給できませんでしたが、農薬によって劇的に改善されました。

また、即効性があるのですぐに効果が表れるのもメリットの1つです。それから、害虫等から守ってくれるので、虫食いが減り、美しい仕上がりになることが増えました。家庭でのベランダや庭での菜園でも、気づくとアブラムシや、よく分からない虫がびっしりとくっついて、野菜がダメになってしまい、子供も親もがっかりなんて悲しいこともありますよね。

そんな時に農薬の力を使えば、どうにか無事に野菜が実り、家庭菜園の楽しさを満喫できます。農薬のメリットは、普段の食材の安定供給だけでなく、家庭菜園でも力になってくれるんです。ただ、耐性害虫が存在するようになったりと、年々農薬のコストがかかるようになっているのが、デメリットの1つです。

また、使用する量を間違えてしまうと、環境や人体に影響してしまう危険性もあります。農薬が残っているかもしれないから、よく洗わないと味や健康に影響が出てしまうかも、と精神的に不安になる人がいるのも、デメリットと考えられます。

では、残留農薬って何?

残留農薬は、農作物に残っている農薬のことです。作物を育てる際に農薬を使用すると、どうしても残ってしまいますが、それぞれの農薬には残留基準が決まっていて、H18年から基準値を上回る物の流通は禁止されています。

農薬は使用できる作物や期間、量や濃度、回数等が決められているので、それを守れば残留基準を超えることは、まずありません。残留基準値は、食品安全委員会で設定されたADI(一日摂取許容量)に基づいて設定されます。

ちなみにADIとは、その農薬を毎日、一生涯摂取しても健康に問題がない量のことです。残留基準は、国内だけでなく海外からの輸入品にも適用されています。残留農薬の検査は、厚生労働省が定める検査法で各自治体が行っていて、農薬の種類によって細かく方法が決められています。

バナナは皮ごと、オレンジは果実のみといったように、検査する部位についても農作物によって細かく設定されています。この検査ですが、残留農薬が気になるからといって個人的に自治体にお願いすることは、基本できません。

とても高価な検査機器と専門の検査員が必要なので、異常な臭いがする等の明らかな異常がない限りは難しいのです。輸入品の検査は、港や空港の検疫所が書類審査と必要があれば検査を実施し、通関後、各自治体が確認をしています。

農薬が残留している食品は大丈夫?

厳格に管理されている残留農薬ですが、やっぱり口にするものは、どうしても安全性が気になりますよね。

残留農薬の基準値は、毎日一生食べ続けても健康に問題ない値で設定されているので、毎日の食事で摂取しても大丈夫です。万が一、基準値を超えたものを1つ食べてしまったとしても、残留基準値は1つの農薬を複数の農産物からとると設定しているので、全体としてのADIを越えなければ、これも問題ありません。

また、毎日食べていると体に蓄積してしまうのでは、と心配になるかもしれませんが、農薬取締法に基づいて各試験を行い、人体に蓄積したり、発がん性のある農薬は登録が認められず、使用禁止となっているので、その心配もありません。

そうは言っても、どうしても気になる方は、野菜や果物をよく洗うのがいいでしょう。残留農薬だけでなく、土や汚れも付いていることもあるので、安全に美味しく食べるためにも、洗うのは有効です。

ホタテ貝やホッキ貝からできている、水酸化カルシウムパウダーが主成分の天然由来成分の野菜用洗剤もあるので、そういったものを利用するのもいいかもしれません。

幼児が残留農薬をとっても大丈夫?

子育てしていると、農薬は子供の成長に何か悪影響があるんじゃないかと、色々と調べて不安になったりもします。子供の口に入るものなので、特に子供が小さい内はどうしても気になってしまいますが、大人と同様に幼児でも問題ない基準値で設定されているので、そこまで気にする必要はありません。

農薬を使用して育てた野菜は、手軽な値段で買うことができるので、色々な野菜を使って栄養豊富な料理を作ることができ、子供の成長に欠かせません。もし、どうしても残留農薬が気になってしまう時は、手間暇がかかる分、農薬を使用した野菜よりも高価になってしまいますが、たまには無農薬野菜を使うという選択肢があると、気が楽になりますし、特別感も出ます。

また、最近では生産者の分かる野菜や果物も販売されているので、そういったものを選べば、どのように生産されたか調べられ、農薬を使っていても納得いくものに出会えます。

幼児でも残留農薬は気にしなくて大丈夫

残留農薬は厳格な基準で決め、管理されているので、安心して野菜や果物を食べられます。ただ、私たちの暮らしを支えてくれている農薬も、使用方法によっては危険になることもあるので、家庭菜園でも使用には十分注意が必要です。

また、残留農薬の基準がきちんとしていても、それぞれが意識を持って、この農作物には、いつどんな農薬が使われているのかを気にかけるのも、これからの安心につながります。