りんごの残留農薬は危険?知っておきたい安全のための知識

Posted on

西洋では健康のためにも良いと言うことで、古くから親しまれている果物がりんごです。日本でも毎日の習慣にしたり、子供のために積極的に与えたい場合も多いでしょう。ただ、気になるのが残留農薬の危険性。皮ごと与えると付着した農薬が体に害をもたらしたり、果実に浸透した薬品も心配です。

ここでは、りんごを安心して食べるために、気を付けたいポイントを見ておきましょう。

11品目の野菜の残留農薬を検査した高知県農業技術センター

りんごの残留農薬は皮に集中している

りんごの残留農薬の量は一般的に、果実より皮に多いとされます。薬剤を空中散布するために果実に農薬がかかるのですが、これが果実に浸透せずに表面でとどまるためです。収穫後に洗浄されるなどして量は減るものの、それでも皮の部分に97%程度の農薬が残るとの専門家の見解がありました。

これでは皮の部分を食べるのは危険と思われますが、剥いてしまうと栄養が損なわれてしまうため、悩むところかもしれません。それではどうすれば良いのか、その答えは農薬について正しく知ることが大切と言えるでしょう。

残留量から皮を剥くべきか検討

日本国内では農薬の使用に際し、厳格な基準が設けられています。りんごについては殆どの農薬が1ppm以下の使用に制限されており、残っている量は極わずかです。基準値が高い場合は20ppmのものもありますが、これは薬剤自体の毒性が低いと判断された結果。

健康のための試験が実施され、薬品ごとに安全を確保できるように設定されています。国内ではこの基準がしっかりと守られていますので、原則的には、この数値以下の品物が流通していると考えて問題ありません。ここで1ppmの数値がどの程度の量なのかを見ていきます。

まず、ppmと言うのは、薬品濃度が100万分の1と言う意味です。平均的なお風呂の容量が200Lですから、1ppmの割合にするには、0.002ml弱の薬品を混ぜます。

目薬一滴が0.05mlと考えると、農薬の残留量はかなり低濃度と言えるでしょう。お風呂に目薬一滴の25分の1を加えた濃度が基準値で、実際には、これより更に低濃度の作物が流通しています。こう考えると1日に1個くらいなら、皮を剥かずにりんごを食べても人体に影響はなさそうです。

皮の残留農薬を減らす工夫

りんごの残留農薬の量は少ないと言えますが、これを更に減らすためのテクニックがあるので見ていきましょう。まず代表的なのがりんごの水洗いです。これだけで残留農薬のほとんどが流れ落ちてしまいます。先述のように農薬はリンゴの皮表面にとどまっており、果肉の方に浸透するのはごく微量です。

このため、皮をしっかりと洗浄すると9割くらいの農薬を除去できると言われます。さっと洗うだけでも効果はありますが、心配な方は数分程度の時間をかけると、薬品が落ちやすいです。

また、食器洗い用の中性洗剤を使うと、より効率的に農薬を除去できます。食器を洗うのに使う位ですから、きちんと水ですすいだら体への危険性はほぼありません。ただ、このような洗剤を使わなくても農薬は落ちます。それに入念にすすがないと洗剤が残り、かえって良くありませんから、通常は水洗いで充分でしょう。

洗剤を使わず、スポンジやタオルで擦ると言う方法もおすすめです。

ちなみにりんごを手で洗うと、ベタベタとしていることに気付くことがあります。国産の場合、これは農薬やワックスではなく、りんご自身が持つ「油あがり」と言う現象で完熟した時に生じるものです。なお、農薬の中には熱に弱いものがあるため、加熱調理をすると分解されてしまいます。

アップルパイやジャムなど加熱調理をする場合は農薬リスクが減ることになりますから、沢山りんごを食べたいけど農薬が気になる時は、試してみてはいかがでしょう。

農薬リスクを低減するりんごの選び方

残留農薬を摂取するリスクを更に避けるには、りんごの選び方も重要になってきます。無農薬栽培を選べれば良いのですが、価格面がネックになり、毎日りんごを食べたい時には負担が大きいかもしれません。そこで他の栽培法の中から、農薬リスクが低いものを探してみましょう。

候補になるのは、袋がけで栽培している農家のりんごです。有袋栽培と呼ばれる手法で、これは農薬が果実に付着しにくいのが特徴。袋がけを行うことで、ちょうど農薬をよけるためのカバーになってくれます。一般的にサン○○となっているりんごは無袋栽培ですので、選ぶ時にチェックしてみましょう。

海外のりんごに要注意

近年は保存技術の進歩もあって、海外から安いりんごを輸入しやすくなってきました。スーパーでも日本産より安い品物を、見たことがある人も多くなっているのではないでしょうか。こちらのリンゴも一応は安全基準が設けられているのですが、日本のように厳しくない条件になっていたり、収穫してから出荷前にも農薬を使っているケースもあるようです。

日本で禁止されている農薬が使われているケースも見当たるため、あまりおすすめはできません。農薬の多寡について気にしない国もあり、害虫駆除や防腐他、変色防止に多彩な薬品を使っているケースもあります。

農薬を減らす取り組み

現在は無農薬栽培も行われるようになりましたが、やはり手間の問題などから多数の農家にとっては、導入するためのハードルは高くなっているようです。りんごは実に繊細な果樹で、害虫はもちろん、病気についての抵抗力も高くありません。

このために薬品を使わずに栽培するのは、至難の業となっています。農薬を使わない場合のリスクは高く、成功すれば良いのですが、失敗した場合に受ける被害は甚大です。りんごの果実だけではなく、果樹そのものがダメになってしまい、農家が破産する可能性もなくはありません。

加えて無農薬栽培にチャレンジした結果、病害虫を発生させてしまうと、その農園以外にも影響が及ぶリスクがあります。病害虫が少ししか発生していないと通常の農薬で防除できますが、これが大量になると危険です。このような事情から昨今はいきなり無農薬栽培にシフトするのではなく、減農薬栽培を行う農家も増えてきました。

農薬の散布回数を減らし、土壌改良剤や木酢液などを利用するなど、自然の力を活用していく栽培方法です。安全なりんごを望む場合は、このような栽培法で作られた品を積極的に購入すると、農家への応援に繋がるでしょう。

国産としっかり洗浄がキーワード

りんごの残留農薬は、日本では厳格な基準が定められているので、人体への影響は考えにくいと言えます。加えて、しっかり洗浄することで安全性が高まりますから、国産を選んで充分に洗うことを心がければ、特に心配せずにりんごを味わえるでしょう。

更に無農薬栽培などの、より安全な製品もありますので、ネットで取り寄せてみるのも良いかも知れません。